おとがわプロジェクト

よりよいまちへの「引き継ぎ」とその「架け橋」を

社会実験は単なるイベントじゃない!?乙川リバーフロントフォーラム2017「QURUWAの未来の歩き方」レポート

2017年9月30日、岡崎市図書館交流プラザ・りぶら会議室301・302で、乙川リバーフロントフォーラム2017「QURUWAの未来の歩き方」が開催されました。

この日は、主要回遊動線「QURUWA(くるわ)」を中心として、2015年度から2020年度までの5か年計画で進む「おとがわプロジェクト」のちょうど中間地点となる日。そして、1か月後には社会実験「めぐる、QURUWA」が迫るこの日。

社会実験とは何なのか、おとがわプロジェクトのこれまで、そしてこれからのことなどを踏まえながら、専門家による講演やパネルディスカッションが行われました。

170930_フォーラム_副市長
会場中央にはQURUWAの大きな地図が飾られました

 

フォーラムの前半では、まず岡崎市の清水康則副市長より10月28日の社会実験に向けて「なぜ社会実験を行うのか?その先に何があるのか?といった話を今日は聞きながら社会実験当日のイメージを深め、ぜひ10月28日に足を運んでもらいたい」、とみなさんへのメッセージが伝えられました。

 

専門家そして市民とつくる「乙川リバーフロント地区のまちづくり」
つづいて、「乙川リバーフロント地区のまちづくり」について乙川リバーフロント推進課香村課長より説明がありました。

中心市街地の空洞化の深刻さがさけばれる中、始まった乙川リバーフロント地区内の整備計画。ただ、何か公共の建物を建てたり、改修したりするハードの整備をするだけではなく、フォーラムやワークショップを専門家の人、そして市民も交えながら行い、計画を進めることで、地区内の様子が変わってきたと言います。

市民を巻き込んだ様々な動きを経て、2016年度には乙川リバーフロント地区まちづくり基本構想が出来ました。その中には、公民連携まちづくりによる持続可能な都市経営の実現に向け、魅力的なまちづくりを推進するため、乙川リバーフロント地区まちづくりデザイン会議を設置することが盛り込まれ、そのデザイン会議の中で、地区内の主要回遊動線としてのQURUWAが設定されたのです。

そして、そのQURUWAを舞台に公園や川、駐車場、道路といった公共空間で、暮らしのつくり手による「やってみたい」、 「楽しみたい」が集まる、まちの過ごし方、使いこなし方の社会実験が10月28日の「めぐる、QURUWA」。

このタイトルは、市民ワークショップで決定されたもの。実施に向けては、一緒に社会実験に取り組んでもらう担い手を募集するワークショップも開催され、44の個人・団体による55のプログラムが行われることになっています。

170930_フォーラム会場
いろいろな世代の方がつめかけた会場

 

当日は、エリアの未来を見据え、公共空間の活用を目指した目的が設定され、社会実験「めぐる、QURUWA」を通して、新たな公共空間の使い方を実際に行い、今後の公民連携まちづくりの本格的な推進やまちづくりのパートナーとなる事業者の誘致なども目指す、とのこと。

 

キャッチコピー「あなたは、まちとどう過ごす?」に込められた思い

配布されたパンフレットや、掲示されているポスターにある「あなたは、まちとどう過ごす?」というキャッチコピー。ちょっと不思議な感じもするこのコピーについて、岡崎まち育てセンター・りたの下里杏奈さんより「”あなたは、まちでどう過ごす?”という候補もあったが、この日にまちに暮らす、訪れる、過ごす人に、その日だけでなく先も考えてほしいと、”あなたは、まちとどう過ごす?”というキャッチコピーに決めました」との説明が。

その後、当日会場となる乙川河川敷、中央緑道、籠田公園、連尺通り、りぶら前・シビコ西広場、そしてそれをつなぐQURUWAでどのような思いのもとに、どのようなプログラムが行われる予定かが紹介されました。

 

欲しい暮らしは確かめながらつくろう!

そして後半。いよいよ西村浩さんによる「欲しい暮らしは確かめながらつくろう!」というタイトルでの講演がスタート。

170930_フォーラム西村さんタイトル
欲しい暮らしは確かめながらつくろう!

 

かつての人口が増加し続ける時代とは違い、人口減少をはじめ、初めてのことだらけの今の時代。そのため、暮らすひとりひとりが発想を変える必要がある。すなわち、新しいライフスタイルの実践が必要であり、「やって、確かめるしかない!」そのためにやるのが社会実験なのだ、と始まりました。

そこで、できるだけたくさんの人が参加して、良かったこと、楽しかったこと、こういうことをしたいね、という意見を出したり、こういうことを直すともっと良くなるね、と考えることがこの岡崎の未来をより良くするポイントになるとのこと。

「大事なのは”これ良くなってきたぞ!”と一人一人が10人の人に伝えること。すなわち、プロモーションが大事。誰か一部の人が担うのではなく、一人でも多くの岡崎のひとが、いいぞ、良くなってきたぞ、と伝えていくことが大事。」と会場のみなさんに語りかけます。

 

イベントと社会実験は違う

「イベントは非日常をつくるものである一方、社会実験は日常をつくるものであるです。イベントと社会実験はまるで違っており、これからのみなさんの未来のためにやるものです。それを理解したうえで色々な人に来てほしいと思います」と説明されました。


■イベント

  • 特徴:非日常・一時的
  • 目標:集客数・盛り上がり・来場者の満足度
  • 運営主体:公共性の高い組織主体
  • 資金:公的支援(補助金等)中心
  • 評価軸:来場者の満足度(デマンド側の評価)

 

■社会実験

  • 特徴:日常的・持続的
  • 目標:持続性・ライフスタイルの実現・運営者の満足度
  • 運営主体:民間主体
  • 資金:民間事業中心
  • 評価軸:運営の体制・仕組み・持続性(サプライ側の評価)

 

その後、西村さんの故郷佐賀での「わいわい!!コンテナ」によるまちの変化の事例が紹介され、岡崎では社会実験をきっかけにどのような変化が起きるのだろう?と会場内の期待が高まりました。

 

日本、そして世界でも行われる社会実験

社会実験はイベントではない!という点を共有した上での第2部は「QURUWAの未来の歩き方」と題し、おとがわプロジェクトのリノベーションまちづくりプロデューサーの清水義次さん、かわまちづくりアドバイザーの泉英明さん、そして、第1部で講演をいただいた西村浩さん、そしておとがわプロジェクトのデザインコーディネーターである藤村龍至さんをモデレーターに迎え、パネルディスカッションが行われました。

 

それぞれが実際に見たり、関わったりしてきた日本各地、そして世界中の社会実験、公共空間の活用の事例が次々と紹介されました。

最初に清水さんから「QURUWAの中には、このりぶらを始め拠点となる場所がいっぱいあります。従って、そこからまちに人が少しずつでも滲み出していくように広がっていったら、まちなかでの暮らしが激変するのではないでしょうか」と始まりました。

170930_フォーラム_清水さん
公共空間を活用することによる豊かさの創出

 

以前、自転車でQURUWAをまわってみたところ、こんなにも歴史も自然も感じられる場所があり、ありあまる公共空間がほとんど手つかずで残っており、すばらしいポテンシャルがある、と感じられたそうです。

今はまだ手付かずであるQURUWA上に点在する豊かな公共空間を使った暮らし方も描けるのではないか、それを確かめるのが社会実験である。ということで、実際にご自身が関わっていらっしゃる公共空間を活用したアーツ千代田 3331オガール紫波、そして南池袋公園の事例が、QURUWAの現状と重ね合わせながら紹介されました。

 

そして、泉さんからは、アメリカ・ニューヨークのタイムズスクエアや、フランス・パリのセーヌ川での取り組みを通して、LQC、すなわち「簡単に、素早く、安く」行うことで、実験、検証、定常化させ、社会実験の取り組みが日常になっていく過程が紹介されました。そのような

そのような変化の兆しは、もちろん国内でも起こっており、実際に泉さんが関わられている、北浜テラスなんばひろば改造計画長門湯本みらいプロジェクトなどでも変化の兆しを実感している、と続きます。

そのような、各地の事例からも「可能性のある空間を連携させて活用してみることで、更に可能性が広がるということが感じられる。」と藤村さんは話します。

 

移動スピードによって、まちの体験はとても変わる

そして、清水さんからはそのような空間の間をどのように移動するかで、得られる体験が異なると続けます。「歩いてする体験は一番コミュニケーション密度の高い体験となり、都市の都市たるゆえんは、人がコミュニケーションをする場であることなのです」、と。

そして、西村さんからも「例えば、りぶらに車で来て、本を借りて、りぶらで本を読む、もしくはすぐに車に戻って帰ってしまうという人が大半ですが、その人が自転車に乗ってちょっと河川敷で本を読んでみる体験をすることで、本の価値が100倍くらい上がるはずです。つまり、その周りを巡る環境をいかに整えていくかが大事だと考えています」と言います。

 

おとがわプロジェクトの後半戦

最後に、「社会実験は続けていくことが大事であり、続けていく状況を生み出すというのが大事。そういうところを目指してより多くの人に参加してもらえるような1日になってほしい」、と西村さん。

「乙川リバーフロント地区では、点としては良い変化の兆しが見えますが、面としてはまだ衰退しています。それを面として賑わいを取り戻すのがとりあえずの最終的な目標になるはずです。今が、おとがわプロジェクトの中間地点ですが、これからの2年半も含め最初の5年が大事となります。本格的な復活はその後の5年が勝負になるはずで、10年くらいかけて街が変わってくるというのが通常です」と清水さんは話します。

170930_フォーラムパネルディスカッション

様々な事例にまちの未来への期待高まるパネルディスカッション

 

「10月28日に向けて、このまちに55のプログラムを担う人が誕生しているのが大事なこと。「あなたは、まちとどう過ごす?」という問いに、市民も行政も向かい合いながら、ぜひ社会実験の日を迎えてほしい。ここは本物の希望がすでにあるまち。これからの展開に大いに期待しています」、と清水さんは締めくくりました。

 

おとがわプロジェクトも中間地点を過ぎ、社会実験「めぐる、QURUWA」をはじめ、今後ますます動きが広がっていきそうですね。期待が高まります!

加納 実久

加納 実久(かのう みく)

1986年、愛知県豊田市生まれ。岡崎の高校を卒業後、大学で上京。就職後は東京、日光での会社員生活を経て、2013年より宮城県石巻市で地域事業者のブランディング、まちに親しむイベントや情報発信に携わる。石巻で地元に対しアクションを起こす高校生や仲間の姿に触発され、2017年6月にUターン。高校時代を過ごした岡崎のまちに再び通う日々を始めました。

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