
- 小さなワクワクが集まって、まちが大きく変わりはじめる!「第3回リノベーションスクール@岡崎」レポート
実際に存在する空間や空き物件をテーマに事業を提案する実践型スクール「第3回リノベーションスクール@岡崎」が2017年12月1日〜3日の3日間、岡崎のまちなかで開催されました。

今回は、岡崎市内外から集まった15人の受講生たちが、「籠田公園近くの駐車場群」、「連尺通り沿いのビル」を対象とする2つのユニットに分かれ、3日間かけて本気で実現可能な事業を立案。日本全国でまちづくりに関わる先駆者の講話も聞きながら、聞き取りやフィールドワーク、ユニットワーク(話し合い)を通して事業内容をブラッシュアップし、最終日の公開プレゼンテーションで発表しました。



スクールの会場は、第1回リノベーションスクールの受講生が惣菜屋を営む wagamama house 、アウトドアオフィスという新しい働き方を提案する 株式会社スノーピークビジネスソリューションズ のシェアオフィス、康生通り沿いの春ビルという3か所を使用しました。


最終日に春ビルで行われた公開プレゼンテーションには、内田市長や今回の題材となった物件を提供いただいたオーナーも来場。50人を超える観客が訪れ、会場は熱気に包まれました。

以下、プレゼンテーションの内容をレポートします。
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ユニットAに与えられたテーマは、「小間切れに存在する駐車場の新しい活用方法を発明せよ!」。対象になったのは、籠田公園近くにある、6名のオーナーによって区分けされた駐車場群でした。
受講生がその場所を訪れると、「区分けされたエリアが壁で仕切られていて車が止めにくいし、スペースがもったいない」という課題が見えてきました。さらに、まちの人の声や路線価、周囲の歴史なども調査する中で、「この場所はQuruwaや二十七曲りに面したすごくいい立地。主要な道に面した部分を活用して、人のにぎわいをまちに見せることはできないか…」と考えました。

そこで、駐車場群をリノベーションする家守会社を立ち上げることを提案。まず各オーナーから駐車場を一括で借り上げ、壁を取り払い、より効率のいい駐車スペースを確保。効率化によって生まれた余白で、道沿いに個性的な屋台を出店することを提案しました。屋台に関しては、「楽器のレンタルスペース」「カフェスタンド」「昼寝スペース」など、具体的なアイデアが挙がりました。

日本初!?の「駐車場の家守会社」という提案に、講師陣は「今すぐやってほしい」と絶賛。この場所で成功すれば、日本各地にも展開できるアイデアだと評価されました。
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次に発表したユニットBの対象物件は、連尺通りにあるビル。狭い間口に対して奥に25mあり、路面に面した店舗空間と小さな居室が7室ある、魅力的な建物です。この場所で、1Fをカフェに、2F・3Fをホテルへリノベーションすることを提案しました。

背景には「岡崎市内には、若者が宿泊したくなるような『面白いホテル』がない」という、今回の受講生である19歳の大学生の意見が。市内のホテルの稼働率や価格帯も調査したうえで、差別化をはかったユニークなホテルのアイデアを発表しました。

ホテルの部屋は、「キャンピングルーム」「ジャズルーム」「ウッドルーム」など、岡崎市内の名物や企業とコラボレーションして作り上げていくとのこと。
さらに、この建物は細い小路にも面しています。この通りを「裏Quruwa」と名付け、建物を通り抜けて小路へ行くことも可能に。そこから宿泊とあわせて岡崎のディープスポットを巡る体験も楽しめるという、ワクワクするストーリーがありました。

講師陣からは、「現状の事業計画だとイニシャルコストが高いので、いかに抑えるかが重要」という指摘も。また「誰がやるのか」という問いに関しては、「ここに住みながら管理していく」という意思のある受講生が手を挙げました。

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プレゼンテーション後の閉校式では、内田康宏岡崎市長から、ねぎらいの言葉と共に「ぜひ実現してほしい」というコメントがありました。

15人の受講生による熱量でまちの温度が少し上がったような、そんな3日間でした。このスクールを通して生まれた出会いが、またまちを変えていく予感がします。

第2回リノベーションスクールのレポートはこちら

前田 智恵美(まえだ ちえみ)
1984年、宮城県石巻市生まれ。ライター。東京のIT企業でWEB広告営業、WEBディレクターとして勤務後、結婚を機に夫の地元である愛知県岡崎市へ。自動車部品メーカー広報、出版社の新規事業立ち上げ・編集を経てフリーに。「QURUWA」の周辺に住んでいます。
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